拒絶理由通知への対応方法
1.拒絶理由通知とは?
特許権を取得するためには、特許庁にて審査を受けなければいけません。特許出願をしてから3年を経過するまでに出願審査請求をすると、審査が開始されます。多くの場合、出願審査請求をしてから約1年~1年半が経過してはじめて、審査の結果が通知されます。
審査の結果、特許にすることが認められた場合は、特許査定という通知が届きます。一方で、審査の結果、特許にすることができないと判断された場合は、拒絶理由通知が届きます。
つまり、拒絶理由通知とは、審査の結果、特許にすることができないと判断された場合に、出願人に通知されるものである、と言えます。
拒絶理由通知にて通知される拒絶理由としては、例えば、以下のようなものがあげられます。
新規性
進歩性
特許法第29条の2
特許法39条
実施可能要件
サポート要件
明確性要件
2.拒絶理由通知への対応方法
拒絶理由通知に対しては、通知が届いた日から60日以内に、意見書・手続補正書を提出することができます。
例えば、手続補正書を提出することで、請求項の内容(特許権を受けようとする発明の範囲)を変更することができます。
新規性や進歩性を有しない、という拒絶理由の場合は、請求項の範囲を減縮したり、独立請求項を従属請求項に限定することができます。また、請求項の記載が明確でない、という拒絶理由の場合は、請求項の記載を明確にするように補正をすることができます。その他、拒絶理由の対象となっている請求項を削除して、他の請求項で権利化することも考えられます。
また、意見書では、その発明が拒絶理由を有するものではないことを説明することができます。
例えば、新規性・進歩性を有しないと拒絶理由通知が出された場合で、手続補正書を提出して請求項の内容を補正した場合は、以下のような事項を意見書にて説明をします。
- 手続補正書による補正が適法であること
- 発明が、審査官が引用した文献(引用文献)と相違していること
- 発明が、引用文献と比べて優れた効果を有するものであること
- 引用文献から発明を想いつくのは、容易ではないこと
拒絶理由通知が届いた場合、意見書、手続補正書を提出する他、分割出願をすることも可能です。分割出願は、意見書・手続補正書と同様に、拒絶理由通知が届いた日から60日以内に行うことができます。
拒絶理由を通知された場合に、一部の請求項は新規性や進歩性を有しないと判断されていても、他の請求項については新規性も進歩性も有しており、拒絶理由の対象となっていない場合があります。
このような場合、拒絶理由の対象となっていない請求項の内容で、まず権利化をすることがあります。そして、残りの請求項の内容で分割出願をして、残りの請求項について時間をかけて対応し、権利化をすることが考えられます。
特許庁に意見書・手続補正書を提出すると、再度、審査が行われます。早ければ、意見書・手続補正書を提出してから2~3か月で、その結果が届きます。
意見書・手続補正書を提出した結果、拒絶理由が解消したと判断された場合は、特許査定が届きます。そうでない場合は、再度、拒絶理由通知が届くか、或いは、拒絶査定という通知が届きます。
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