拒絶理由通知への対応は、明細書作成よりも重要?
1.弁理士によって、特許にする力は全然違う
拒絶理由通知やオフィスアクションへの対応は、明細書の作成よりも力をいれて取り組むべきもの、といっても良いくらい重要です。もちろん、明細書作成が重要であることは言うまでもありません。
というのも、明細書の出来がいまいちでも、拒絶理由通知やオフィスアクションへしっかりと対応すれば、それなりに有効な権利を取得することができます。明細書の出来が、本当にどうしようもないものだと厳しいのですが。
仕事柄、他の特許事務所さんで特許出願をした後に、お客様からのご依頼で、当事務所で拒絶理由通知への対応をさせていただくことがあります。正直なところ、明細書の質が悪く、読みにくく、書くべきことが十分に書かれていないこともあります。
そのような場合でも、特許庁と何度もやりとりを繰り返すことになりますが、丁寧にしっかりと対応していけば、有効な特許権を取得することができる場合があります。
一方、明細書の出来が素晴らしくても、拒絶理由通知への対応が悪ければ、特許が認められない、或いは、特許が認められたとしても、まったく有効ではない特許になることもあります。
出願審査請求をしたもののうち、9割以上について拒絶理由通知が届きます。審査官の見解に対して適切な反論をすれば、拒絶理由を克服して特許が認められるでしょうし、適切な反論ができなければ、拒絶理由を克服できずに拒絶査定となります。
また、請求項の補正は、明細書に記載された内容の範囲であれば、自由にすることができますが、必要以上に請求項の範囲を狭めてしまえば、特許を取得したとしても、他社に特許権侵害を簡単に回避されてしまうでしょう。
つまり、拒絶理由通知の対応が、どのような内容で、特許を取得することができるかを決定する手続きなのです。
ですから、拒絶理由通知やオフィスアクションへの対応は、明細書の作成よりも力をいれて取り組むべきもの、といっても良いくらい重要なのです。
2.チームで拒絶理由通知等へ対応することが理想
一般に、多くの企業では、特許出願の際の明細書作成に力が入っていても、拒絶理由通知への対応には十分に時間と労力をかけられていないのではないかと思われます。
特に、開発者など発明者の方は、特許出願の数がノルマになっていても、拒絶理由通知への対応の回数がノルマになっていることはありません。発明者は、研究や開発が主の業務ですから、拒絶理由通知やオフィスアクションへの対応に十分な時間と労力をかけれなくなるのかもしれません。
必然的に、企業の知的財産担当者と特許事務所が中心になって、拒絶理由通知やオフィスアクションへの対応方針が決められることになります。
ただ、特許事務所は、拒絶理由の対象となっている発明を特許にすることは得意かもしれませんが、クライアントの技術や製品、方針、状況などをすべて把握しているわけでもありませんので、必ずしも拒絶理由通知に対して適切な提案ができるわけではありません。
現実的には難しいこともあるかと思いますが、理想としては、発明者、企業の知的財産担当、特許事務所がチームになって、拒絶理由通知、オフィスアクション等への対応を行うことだと思います。
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