特許料の納付について
1.特許権の発生 査定後の特許料の納付とは?
特許庁での審査又は審理で、特許を認めてよいと判断された場合、特許査定又は特許審決がだされます。ただ、特許査定又は特許審決がだされただけでは、特許権は発生しません。
特許すべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内に、1~3年分の特許料を一時に納付すること、つまり、特許料の納付を行うことで、特許権の設定登録がなされ、特許権が発生します。
特許庁へ納付する特許料は、請求項の数によって変わります。特許権の発生から第1年から第3年までの特許料は、以下の計算式で算出できます。
<1~3年分の特許料>
毎年 2,100円+(請求項の数×200円)
仮に、請求項の数が3つの場合、納付に必要な1~3年分の特許料は8,100円となります。
※令和4年4月1日より、料金改定・施行が行われる予定です。
<改定後の1~3年分の特許料>
毎年 4,300円+(請求項の数×300円)
なお、特許料の納付期間は、特許査定又は特許審決の謄本が特許庁から送達されてから30日以内に請求することで、30日以内に限り延長することができます。
延長の請求は、特許庁長官に「期間延長請求書」を提出することで行います。納付期間の延長には、手数料として特許庁へ2,100円を支払う必要があります。
2.4年目以降の特許料 年金とは?
上でご説明したように、特許査定・特許審決がだされた後は、1~3年分の特許料を支払います。では、4年目以降も特許権を維持させたいときは、どうすればよいのでしょうか?
特許権の存続期間は、出願から原則20年と定められています。4年目以降も特許権を維持するためには、翌年以降の特許料を事前に納付する必要があります。
例えば、特許の登録をされた日(登録日)が、2022年4月1日の場合、2025年4月1日までが3年目、2025年4月2日からが4年目となります。第4年の特許料の納付は、4年目に入る前までの3年目のうちに、つまり2025年4月1日までに 第4年の特許料を納付する必要があります。4年目以降の特許料は、1年ごとに支払うことも可能ですし、複数年分をまとめて支払うこともできます。
なお、特許権の維持に係る特許料のことを、毎年のように納付を行うことから、「年金」と呼ばれることもあります。
特許料は、特許権の取得からの経過年数によって費用が変化します。具体的な料金は下記表のとおりです。
また、令和4年4月1日からの料金改定により、さらに年金が高額になることが予定されています。
なお、特許料の計算は、特許庁の手数料計算システム を活用すると簡単に費用がわかるので便利です。
特許料(年金) |
改定前金額 (令和3年3月31日まで) |
改定後金額 (令和4年4月1日より) |
第1年から第3年まで |
毎年 2,100円+ (請求項の数×200円) |
毎年 4,300円+ (請求項の数×300円) |
第4年から第6年まで |
毎年 6,400円+ (請求項の数×500円) |
毎年 10,300円+ (請求項の数×800円) |
第7年から第9年まで |
毎年 19,300円+ (請求項の数×1,500円) |
毎年 24,800円+ (請求項の数×1,900円) |
第10年から第25年まで |
毎年 55,400円+ (請求項の数×4,300円) |
毎年 59,400円+ (請求項の数×4,600円) |
特許権の維持に係る特許料は年々高額となるため、特許料の納付の要否を、権利者は十分検討することが重要です。
納付期限内に特許料の納付を行わない場合、それ以降の特許権は消滅します。
なお、納付期限内に特許料の納付が行われていない場合であっても、期限から6か月以内であれば、特許料を倍額納付することで、特許権を維持することができます。
特許料の納付をうっかり忘れてしまったら、特許を取得するために、せっかく費用をかけても無駄になってしまいます。そこで、期限内に特許料の支払い忘れを防ぐサービスとして、特許庁は以下のサービスを用意しています。
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特許(登録)料支払期限通知サービス
アカウント登録を行った者が希望する特許番号に対して、特許料等の次期納付期限日をメールにて通知するサービス
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設定登録料金の包括納付制度
包括納付申出書を特許庁に提出することにより、1~3年分の特許料を自動的に納付することのできるサービス
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特許料の自動納付制度
自動納付申出書を特許庁に提出することにより、登録後の特許料を自動的に納付することのできるサービス
なお、特許事務所によっては、特許の期限を管理してくれる事務所もあります。出願から権利化後までのサポートについて、どのようなものがあるのか事前に確認して、特許事務所を選択するのもよいかもしれません。
特許料の納付期限のまとめ
3.減免制度の活用
中小企業、個人及び大学等を対象に、審査請求料と上記特許料(第1年分から第10年分)について、一定の要件を満たした場合、減免措置を受けることができます。
減免制度は、審査請求日によって、新減免制度(2019年4月1日以降)か旧減免制度(2019年3月31日以前)のいずれかが適用できるか判断されます。
なお、共同出願の場合、出願人全員が減免対象とならなくても、それぞれの持分の割合に応じて、減免措置が受けられます。
2019年4月1日以降に審査請求をした案件について、具体的な減免措置は例えば以下のとおりです。
- 大学等の研究者や大学が出願人の場合、特許料(第1年分から第10年分)は1/2に軽減されます。
- 事業開始後10年未満で、資本金額又は出資総額が3億円以下の法人であり、大企業に支配されていない中小ベンチャー企業であれば、特許料(第1年分から第10年分)は1/3に軽減されます。
要件を満たした出願人であれば減免措置が受けられるので、ぜひ要件を確認して活用しましょう。
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