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特許の知識

特許異議申立と特許無効審判の違いは?

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特許異議申立と特許無効審判の違いは?

特許異議申立は、特許公報が発行されてから6ヶ月以内に、特許庁に対して特許異議の申立てをし、特許の取消しを求めることができる制度です。特許異議申立は、第三者に特許の見直しを求める機会を付与して、申立てがあったときは、特許庁が特許処分の適否について審理して、その是正を図ることを目的とする制度です。

 

一方で、特許無効審判は、特許庁に対して特許の無効審判の請求をし、特許の無効を求めることができる制度です。特許権に瑕疵がある場合、権利者に不当な権利を与えることになり、当事者間での紛争の原因ともなります。特許無効審判は、このような当事者間の紛争の解決を目的とする制度です。

 

いずれも、一度発生した特許権を消滅させることができる点で共通しますが、違いもあります。以下、特許異議申立制度と、特許無効審判の主な違いについて、ご説明します。

請求できる人

特許異議申立は、第三者に特許の見直しを求める機会を与えることを目的としているため、誰でも行うことができます。

 

一方、特許無効審判は、主に、紛争の解決を目的としているため、利害関係人の請求に限られます。利害関係人としては、特許庁の発行する審判便覧に以下の具体例があげられています。

 

  • 特許発明と同一の発明を実施している者、実施していた者
  • 特許発明を将来実施する可能性を有する者
  • 特許権に係る製品・方法と同種の製品・方法の製造・販売・使用等の事業を行っている者
  • 特許権の専用実施権者、通常実施権者等
  • 特許権について訴訟関係にある者、訴訟関係にあった者又は警告を受けた者
  • 特許発明に関し、特許を受ける権利を有する者

 

請求できる時期

特許異議申立は、特許掲載公報発行の日から6か月以内に請求する必要があります。

特許掲載公報の発行から6か月を経過すると、特許異議申立を行うことはできません。審査における特許処分の適否について審理して是正を図ることを目的としているため、申立て期間は短期間に限定されています。

 

一方、特許無効審判は、特許された後であればいつでも請求をすることができます。

特許権が消滅した後も請求することが可能です。主に紛争の解決を目的とするとため、紛争が発生する可能性がある期間であれば、審判を請求することができます。

申立ての理由、請求の理由

特許異議申立における申立ての理由は、新規性、進歩性を有しないと考えられる場合、実施可能要件、サポート要件、明確性要件などを満たさないと考えられる場合などがあげられます。特許法第113条には、以下の場合が規定されています。

 

一 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした

  特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたこと。

二 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条又は

  第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたこと。

三 その特許が条約に違反してされたこと。

四 その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に規定する

  要件を満たしていない特許出願に対してされたこと。

五 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面

  に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないこと。

 

一方、特許無効審判における請求の理由は、特許異議申立における申立ての理由と同様、新規性、進歩性を有しないと考えられる場合、実施可能要件、サポート要件、明確性要件などを満たさないと考えられる場合などがあげられます。特許法第123条には、以下の場合が規定されています。

一 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正を

  した特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたとき。

二 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、

  第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされた

  とき(その特許が第三十八条の規定に違反してされた場合にあっては、

  第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の

  移転の登録があつたときを除く。)。

三 その特許が条約に違反してされたとき。

四 その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に

  規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとき。

五 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は

  図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。

六 その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に

  対してされたとき(第七十四条第一項の規定による請求に基づき、

  その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。

七 特許がされた後において、その特許権者が第二十五条の規定により特許権

  を享有することができない者になったとき、又はその特許が条約に違反

  することとなったとき。

八 その特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正が

  第百二十六条第一項ただし書若しくは第五項から第七項まで(第百二十条

  の五第九項又は第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、

  第百二十条の五第二項ただし書又は第百三十四条の二第一項ただし書の

  規定に違反してされたとき。

特許無効審判は、当事者間の紛争を解決することを目的とするものですので、冒認出願や共同出願違反などの権利の帰属に関する理由が請求の理由となっていますが、特許異議申立では、これらの権利の帰属に関する理由が申立ての理由となっていない点が、異なります。

審理の進め方

特許異議申立は、基本的には特許庁と特許権者との間で審理が進められます。審理は、書面にて行われます。

一方、特許無効審判は、審判の請求人と特許権者が審理に参加する当事者対立構造をとります。特許無効審判では、書面だけでなく口頭でも審理が行われます。

 

特許異議申立の結果、取消決定が確定したときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなされます。特許無効審判の結果、特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、初めから存在しなかつたものとみなされます(請求の理由によっては、請求の理由を有する状態に至ったときから、存在しなかったとものとみなされることがあります)。

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