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特許の知識

特許出願から登録までの流れは?

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1.特許出願までの流れ

発明が完成してから、特許を出願するまでの流れについて、ご説明します。

 

特許事務所によっても、得意な分野は異なりますので、これから出願しようとしている技術分野を得意とする特許事務所であるかを、事前に確認しておくとよいでしょう。特許出願の経験が豊富な企業の方に、その分野に強い特許事務所をご紹介いただいてもよいかもしれません。

 

通常、特許事務所に特許出願の依頼をすると、発明の内容についてヒアリングが行われます。ヒアリングが行われる前に、発明をした技術的な背景、発明の特徴等をまとめたもの、図面やフローチャートなど、事前に関連する資料をお送りしていてもよいでしょう。また、ヒアリングの際には、発明の内容を説明するだけでなく、どのような内容で権利化を目指すのかについても、特許事務所と協力しながら、検討を行っていきます。

 

ヒアリングが行われると、特許事務所にて、特許庁へ出願する出願書類(願書、特許請求の範囲、明細書、要約書、図面)の作成が開始されます。場合によっては、出願書類を作成する前に、先行する技術が存在するかについての調査が行われます。

 

出願書類が作成されると、発明者や特許担当がそれらの書類を確認します。書類をチェックした結果、修正が必要であれば、修正を依頼することもできます。出願書類に問題がなければ、特許事務所にて、特許庁への出願手続きが進められます。

 

なお、特許事務所へ料金を支払うタイミングですが、出願書類の作成に着手する段階で支払うケースと、特許出願が完了した後に支払うケースがあるようです。

2.出願後、特許取得までの流れ

方式審査

特許出願が行われると、出願が所定の形式的な要件を満たしているかについての方式審査が行われます。出願に形式的な不備がある場合は、その旨が通知され、補正の機会が与えられます。例えば、特許出願と同時に特許庁に支払われるべき出願手数料が納付されていない場合などは、出願手数料の納付が求められます。

 

このように特許庁から通知が届いたにもかかわらず、期限内に適切な対応を取らない場合は、特許出願が却下されてしまいます。

特許出願から1年6か月後に出願公開

特許出願をしたのち、1年6か月が経過すると、出願の内容が公開されます。特許が認められたか否かにかかわらず、自動的に発明の内容が公開されます。

 

公開されたものは、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で確認をすることができます。

 

発明の内容は公開されますから、当然、競合他社もその内容を確認することが可能となります。ですから、外部に開示することが好ましくないノウハウなどは、出願の内容に含まれないように注意をする必要があります。

特許出願から3年までに出願審査請求が必要

特許権を取得するためには、特許庁にて特許要件や記載要件を満たしているか等の実体的な審査を受けなければいけません。この実体的な審査を受けるためには、特許庁に対して出願審査請求という手続きをとる必要があります。

 

審査請求は、特許出願の日から3年以内に行うことと決められています。特許出願の日から3年以内に審査請求を行わない場合は、特許を取得することができなくなります。

 

早く特許を取得したいのであれば、特許出願と同時に審査請求をすることも可能です。

また、特許出願から3年ぎりぎりまで待ってから審査請求をすることもできます。

 

例えば、製品開発の途中段階で特許出願をした場合などは、出願をした時点では、その発明が実際の製品で利用されるかどうかがわからない場合があります。このような場合、出願から3年近くが経過するまで待って、審査請求を行うことも有効です。

審査の結果、拒絶理由が通知されることがある

審査請求をすると、特許庁にて審査が行われます。

ただし、すぐに審査が開始されるわけではありません。多くの場合、審査請求をしてから約1年~1年半が経過してはじめて、審査の結果が通知されます。審査を早めたい場合は、早期審査の申請をすることが有効です。

 

審査の結果、特許にすることが認められた場合は、特許査定という通知が届きます。

一方、審査の結果、特許にすることができないと判断された場合は、拒絶理由通知という通知が届きます。拒絶理由通知では、出願した発明について、新規性・進歩性を有しない、といった拒絶理由が通知されます。

 

拒絶理由通知が発行されずに、いきなり特許査定がだされるケースは、それほど多くありません。正確な統計をとったわけではありませんが、当事務所での経験上、9割以上の出願について拒絶理由が通知されます。

拒絶理由通知に対しては、通知が届いた日から指定された期間内(通常は、60日以内)に、意見書・手続補正書を提出することができます。

 

例えば、手続補正書を提出することで、特許権を受けようとする発明の内容(つまり権利範囲)を変更することができます。特許を受けようとする発明の内容を変更することで、特許が認められるようになる場合があります。

 

また、意見書では、その発明が拒絶理由を有するものではないことを説明することができます。例えば、審査官の判断の一部に誤りがある場合は、その誤りについて意見をすることができます。また、発明が予想もできない優れた効果を奏するものであることを主張する場合もあります。

 

特許庁に意見書・手続補正書を提出すると、再度、審査が行われます。早ければ、意見書・手続補正書を提出してから2~3か月で、その結果が届きます。

 

意見書・手続補正書を提出した結果、拒絶理由が解消したと判断された場合は、特許査定が届きます。そうでない場合は、再度、拒絶理由通知が届くか、或いは、拒絶査定という通知が届きます。

 

特許庁の統計によれば、審査請求をして審査を受けたもののうち、約70%が特許査定となっています。

 

なお、審査の基準や精度を一定に保つため、特許庁では、特許・実用新案審査基準にしたがって審査を実施しています。ご興味のある方は、『特許・実用新案審査基準 』をご参照ください。

拒絶理由がクリアーできない場合、拒絶査定が通知される

審査官の最終的な審査の結果として拒絶査定が届いた場合は、残念ながら審査では特許が認められなかった、ということになります。

拒絶査定に対しては、3か月以内に拒絶査定不服審判を請求することができます。拒絶査定不服審判を請求すると、これまで審査を行ってきた審査官とは異なる審判官3名により、特許を認められるべきかについての審理が行われます。

 

「一度、特許庁の審査官が拒絶査定をだしたものについて、拒絶査定不服審判を請求して、特許が認められることがあるのか?」と疑問をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。特許事務所によっても異なるかと思いますが、当事務所では、拒絶査定不服審判を請求したもののうち、3件に2件が最終的に特許になっています。3分の2の割合であれば、チャレンジをしてみる価値はあるかと思います。

 

 

拒絶査定不服審判の結果、やはり、審判官が特許を認められないと判断した場合は、残念ではありますが、拒絶審決が通知されます。審決は、特許庁における最終判断であり、この結果に不服がある場合は、訴訟で争うしかありません。拒絶審決がだされてから、30日以内であれば、知的財産高等裁判所へ拒絶審決の取り消しを求めて提訴することができます。

特許査定が通知され、特許料を納付すると、特許権が発生する

特許査定(審判の場合は、特許審決)が届くと、30日以内に、特許庁に3年分の特許料を納付する必要があります。特許料を納付すると、特許が登録され、特許権が発生します。特許の登録がされると、まもなくして特許証が発行され、また、特許掲載公報(いわゆる特許公報)が発行されます。

 

特許掲載公報も、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で確認をすることができます。

 

特許権は、出願の日から20年まで存続させることができます。

特許査定が出された後に3年分の特許料を支払いますが、4年目以降の特許料についても、継続して支払いを行うことで、出願の日から20年が経過するまで、特許権を維持することができます。

 

4年目以降の特許料の支払いは、定められた期限までに支払うことが必要です。

自社で管理をするとなると、気が付いたら期限が過ぎてしまった、なんてこともあります。特許事務所で出願をすれば、多くの事務所では、特許料の支払い期限も管理してもらえるので、ご安心ください。

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