出願審査請求とは?
1.出願審査請求とは?
出願審査請求とは、特許出願について、審査を開始するように特許庁に請求する手続きを言います。
特許出願をしたとしても、出願審査請求をしなければ審査は開始されません。出願審査請求をして初めて、審査が開始されます。
特許法第48条の2では、以下のように記載されています。
第四十八条の二
- 特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう。
また、出願審査請求は、特許出願の日から3年を経過するまで行うことができます。
例えば、2020年4月1日に特許出願をしたのであれば、2023年4月1日までであれば、出願審査請求をすることができます。
特許法第48条の3では、以下のように記載されています。
第四十八条の三
- 特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。
もし、特許出願の日から3年を経過したのに出願審査請求を行わなかった場合は、もう特許にすることはできなくなります。特許出願が取り下げられたものとみなされます。
なお、分割出願については、原出願日(親出願の出願日)から3年以上が経過した後に出願されたものについては、分割出願の出願日から30日以内に出願審査請求をする必要があります。
出願審査請求の手続きは、特許庁へ出願審査請求書を提出することで行われます。
出願審査請求をしたとしても、すぐに審査が開始されるわけではありません。
現状、特許の審査は順番待ちになっていて、技術分野によっても異なりますが、出願審査請求をしてから1年程度または1年以上が経過してから審査の結果が届きます。
2.出願審査請求の費用は?
出願審査請求の費用は、特許庁に支払う費用だけですと、通常は、138,000円+請求項×4,000円です。
特許庁が国際調査報告を作成した国際特許出願については、83,000円+請求項×2,400円です。
特許事務所へ依頼すると、これらの費用に、1~2万円程度の追加の手数料が発生します。
また、特許庁に支払う出願審査請求料は、一定の条件を満たすと、1/2又は1/3まで減免できる場合があります。詳しくは、「特許出願の費用について 」をご確認ください。
3.特許出願の後、出願審査請求はどのタイミングですべきか?
出願審査請求は、特許出願をしてから3年を経過するまでであれば、いつでも行うことができます。ですから、特許出願の直後に出願審査請求をすることも可能ですし、3年ぎりぎりまで待って出願審査請求をすることもできます。
それでは、いったい、いつ出願審査請求をすればよいのでしょうか。
出願審査請求のタイミングは、その発明に関する製品やサービスが、いつ販売を開始するのかを基準に考えるとよいです。
例えば、まだまだ技術の改良の余地があり、製品化をするまでに時間がかかる、ということであれば、あわてて出願審査請求をする必要はありません。特許出願から3年が経過するまでが限度ではありますが、製品化の目処がたつまで、じっくりと待てばよいです。
製品の開発を進めていくと、製品の仕様が、特許出願をした当時に考えていたものとは大きく変わってくることがあります。あわてて出願審査請求をした場合、得られた特許の内容が、実際の製品の仕様と、異なるものになってしまうことがあります。また、特許出願をした内容ではカバーができないほど、製品の仕様が変わってしまった場合など、費用をかけて出願審査請求をし、特許を取得することが適切でなくなることがあります。
つまり、出願審査請求をすることで、製品の仕様などの変化に対応しきれないリスクが発生します。
このような場合は、期限のぎりぎりまで待って、出願審査請求をした方がよいでしょう。
また、特許出願はしたものの、その事業が軌道に乗らなければ、事業そのものから撤退する可能性があるような場合もあります。そのような場合は、事業が継続する可能性を見極めたうえで、出願審査請求をした方がよいでしょう。
一方、製品の仕様が大きく変わる可能性は低く、すぐにでも製品・サービスが世に出るような状態である場合は、特許出願をした直後に、出願審査請求をするのもよいと思います。
出願審査請求のタイミングが早ければ、特許になる時期も早くなります。早期に特許を取得して、他社に対して牽制をすることもできますし、特許を取得していることを顧客にアピールすることもできます。
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