MENU

特許の知識

どのような場合に特許の分割出願をすると有効か?

divisional

1.特許の分割出願とは?

1つの特許出願をもとに、新しい出願を分割して出願をすることができます。この新しく分割して出願したものを分割出願と言います。

 

分割出願のもとになった出願を親出願、分割された出願を子出願と言うこともあります。

分割出願を利用することで、親出願の請求項に記載された発明とは異なる発明について、審査を受け、特許を取得することが可能となります。ただし、親出願の明細書に記載されていないことまで、分割出願に含めることはできません。分割出願をして特許権を取得できるのは、親出願の明細書に記載されている発明に限られます。

 

分割出願をすると、親出願の出願日に、子出願も出願されたものとして、審査が行われます。子出願だからといって、親出願よりも不利になる、ということはありません。

2.分割出願ができる時期は決まっている

分割出願ができる時期は決まっています。

特許出願をした後、拒絶理由通知が届くまでは、いつでも分割出願をすることができますが、拒絶理由通知が届いた後は、分割出願ができる時期は限られます。

 

拒絶理由通知が届いた場合は、拒絶理由通知の発送の日から60日以内であれば、分割出願が可能です。そして、拒絶査定が届いた場合は、拒絶査定の謄本の送達の日から3ヶ月以内であれば、分割出願が可能です。そして、特許査定が届いた場合は、特許査定の謄本の送達の日から30日以内であれば、分割出願が可能です。

 

特許査定がだされた場合は、分割出願ができる最後の機会となります。

また、拒絶査定がだされた場合は、確定ではありませんが、分割出願ができる最後の機会になる可能性が高いです。

 

ですから、特許査定又は拒絶査定がだされた場合は、分割出願をするか否かの見直しをしていただくことが大切です。

3.どのような場合に分割出願をすると有効か? そのメリットは?

 それでは、どのような場合に分割出願をすると有効かについて見ていきたいと思います。

 

ケース1

拒絶理由を通知された場合に、独立請求項の請求項1は新規性や進歩性を有しないと判断されていても、従属請求項については新規性も進歩性も有しており、拒絶理由の対象となっていない場合があります。

 

このような場合、拒絶理由の対象となっていない従属請求項の内容で、まず権利化をすることがあります。そして、独立請求項の内容で分割出願をして、分割出願にて、より広い範囲の請求項で権利化をすることが考えられます。

 

この ような方法をとることで、権利化できる発明を早期に権利化し、より有効ではあるけれど、取得するためのハードルが高い発明については、じっくりと権利化に取り組むことができる、というメリットがあります。

 

注意点としては、拒絶理由の対象となっていない従属請求項を親出願で権利化し、より広い請求項を子出願とすることです。逆にしてしまうと、従属請求項の内容で、早期に権利化をすることができなくなります。

ケース2

特許査定がだされた場合に、特許になった請求項の内容について見直しを行います。特に独立請求項である請求項1の見直しを行い、もう少し広い範囲で権利化することができないかの見直しを行います。

例えば、請求項1に不要な発明特定事項が含まれていることを発見した場合は、そのような発明特定事項を削除します。また、請求項1で使用されている用語の場合だと、特許権の権利範囲が狭く解釈されてしまう恐れがある場合は、その用語をより適切な用語に置き換えます。

 

特に特許査定がだされている場合は、審査の過程を調べていけば、審査官が請求項1の発明特定事項のうち、どの発明特定事項に特許性があるのかが分かる場合がありますので、子出願では、特許性のある発明特定事項を残しておきつつ、その他の発明特定事項を削る又は上位概念化すれば、親出願の独立請求項よりも広い範囲で、特許を取得することも可能です。ただし、子出願が親出願により39条の拒絶理由の対象となることもありますので、注意が必要です。

 

この ような方法をとることで、すでに取得した特許よりも広い権利範囲の特許を取得できる、というメリットがあります。

ケース3

拒絶査定や特許査定がだされたタイミングで、明細書に記載された内容で、分割出願前の独立請求項1とは異なる点を特徴とする請求項で、分割出願をします。

1つの製品には、複数の発明が含まれていることがありますので、1つの明細書にも、複数の発明が含まれていることがあります。

 

ですから、親出願とは異なる点を特徴とする発明について、子出願で特許を取得することも可能です。ここで、あえて自社の製品ではなく、競合他社の製品をカバーするような内容で分割出願をすることも有効な戦術です。

ケース4

拒絶査定がだされた場合、拒絶査定不服審判を請求して、審判官による審理を受けることができます。うまくいけば、審判にて特許が認められます。ただ、審判を請求すると、請求項を補正する機会もなくなりますので、特許庁の判断に応じて請求項の内容を変えたい場合などは、審判を請求せずに、分割出願をした方がよい場合があります。

 

この場合、分割出願のもととなる親出願については、拒絶査定に対応せずに権利化をあきらめ、分割出願で権利化を目指すことになります。

お問い合わせ

ソフトウェア特許・ビジネスモデル特許の専門家がサポートします。
このようなことがありましたら、お気軽にご相談ください。

03-5809-2727
受付時間:平日9:00〜18:00

ご相談・お問い合わせ

PAGETOP