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-「発明の効果」が得られる理由を考える-  第104号

2014.05.08 カテゴリー/ Column 

こんにちは。田村です。


実は、6月6日(金)に、
都内でセミナーを企画しております。

テーマは「拒絶理由通知への対応」についてです。


以前も実施をしておりましたが、内容の見直しをして、
再開したいと考えています。



まだ、申込みページ等の準備ができておらず、
正式な告知は、来週となりそうです。

ご興味のある方は、6月6日の午後の予定を
空けておいてくださいね。




さて、本題です。


請求項を記載するとき、権利範囲ができるだけ、
広くなるように記載したい、というのは、

誰しもが思うことです。



気を付けないといけないのは、

油断をしていると、実施例の記載につられてしまい、
請求項の記載が、必要以上に狭くなってしまうことです。


単に、実施例を上位概念化しただけでは、
発明の本質をとらえた権利範囲とならない場合があります。


例えば、「円柱状の鉛筆」が有する、転がりやすいという
問題を解消するために「六角柱状の鉛筆」を発明した場合、

「六角柱状の鉛筆」を上位概念化したとしても、
「多角柱状の鉛筆」とはなりますが、

それ以上、上位概念化することは、できないでしょう。


例えば、
「楕円柱状の鉛筆」でも「円柱状の鉛筆」に比べて、
転がりにくくなりますから、課題を解決することはできます。

しかし、「多角柱状の鉛筆」の権利範囲には含まれていません。


では、どのように上位概念化するべきかですが、

「発明の効果」が得られる根本的な理由、要因は何か?

を考えることが重要だと思います。


鉛筆の例について、私なりの結論ですが、

転がった時に重心の高さが変化することが、
鉛筆が転がりにくくなる本質的な理由ではないか?

と思います。


それを考慮したうえで、請求項を記載すると、

「柱状であり、
 長さ方向に垂直な断面における重心から
 断面の外周までの距離が不均一である、鉛筆。」

などの記載が考えられます。


「発明の効果」が得られる根本的な理由、要因を
明確にすることで、実施の形態につられることなく、
請求項を記載することができます。



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