特許を通して貴社の事業発展をサポートします

-他社特許からの防御方法- 第171号

2018.10.01 カテゴリー/ Column 

 こんにちは。田村良介です。


 先日、ベンチャー企業の社長さんから、

 「自社の技術を保護することも重要なのですが、
  他社に特許を取得されて、この技術が使えなく
  なるのが不安です。」

 といったご相談を受けました。


 この企業は、とある分野では最先端を走っている会社。


 自社技術について、他社よりも先に特許出願をすれば、

 他社が特許を取得して、自社でその技術が利用できなくなる、
 というリスクも回避できますが、

 問題は、そう簡単ではありません。


 特許出願をすると、その後、出願の内容は公開されます。
  
 この社長さんは、特許を出願することで、
 自社の技術が、容易に、他社に知られてしまうことも、

 懸念されていらっしゃいました。


 それでは、

 自社で特許出願をしなくても、
 他社に特許を取得されて、自社技術が使えなくなる、
 というリスクを回避する方法は、ないのでしょうか。
 

 実は、このような場合に1つの良い方法があります。

 それは、先使用による通常実施権(先使用権)を
 主張できるようにしておくこと。


 先使用権とは、他社が、特許出願をする前に、
 自社で実施していた技術については、

 他社が特許を取得したとしても、
 継続的に、その技術を実施することができる、

 という権利です。

 
 先使用権については、特許庁のHPで
 詳しく解説されています。

  http://www.jpo.go.jp/seido/tokkyo/seido/senshiyou/index.html

 
 詳しくは、特許庁のHPでご確認をいただくのがよいのですが、
 
 この先使用権を確保するためには、

 例えば、
  実験報告書、
  販売報告書、
  設計図、
  研究ノート、
  研究レポートなどについて、

 公証人役場にて、確定日付を付与してもらう方法があります。

 
 こうしておけば、他社が特許出願するよりも先に
 自社でその技術を実施していたことを証明するのに役立ちます。


 自社が他社特許に対して先使用権を有するか否かは、
 最終的には、裁判所で争われるわけですが、

 例えば、他社から警告を受けた場合などに、
 先使用権を有することを説明することで、

 相手方からそれ以上何も言ってこなくなることもありますので、
 訴訟まで行かずに、問題を回避することにもつながります。 


————————————————————————————–
■当メールマガジンについて

※当メールマガジンは、私個人の特許に対する考え方や
 ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容の
 すべてが絶対的に正しいとは、考えておりません。

 予めご了承いただいたうえで、お読みください。

■メールマガジン「役に立つ特許実務者マニュアル」は
 著作権により保護されています。

————————————————————————————–

[`evernote` not found]

↑トップへ

Top