こんにちは。田村良介です。
■パレートの法則って、ご存知でしょうか。
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが
発見した法則です。
80:20の法則と呼ばれることもあります。
経済において、
全体の数値の大部分(80%)は、
全体を構成する要素のうちの一部の要素(20%)が
生み出しているという法則です。
例えば、企業の場合であれば、
売上の8割は、全商品のうちの2割の商品で生み出されている、
ということがあるようです。
■ところで、
特許法は、第1条から始まり第204条まで。
その中でも、特許の実務をする人にとって
最もおなじみなのが、29条1項各号、29条2項。
つまり、新規性と進歩性です。
新規性と進歩性について深く理解をすることで、
特許の実務を進めていくのに、困ることも少なくなります。
新規性・進歩性を深く理解し、
その理解を活かした対応をすることができれば、
特許の実務の大部分を押さえることができる、
と言えそうです。
ここでも、パレートの法則があてはまるのかもしれません。
■新規性・進歩性についての理解を深めておくことで、
特許庁から拒絶理由を通知された場合でも、
適切な対応をすることができます。
それだけではありません。
例えば、発明の発掘活動。
発明者からアイデアをヒアリングしても、
新規性・進歩性についての理解が深まっていれば、
それまでは出願をせずにあきらめていたものも、
出願をし、特許にまでもっていくことができるかもしれません。
新規性・進歩性についての理解を深めることは、
当然、出願の際の請求項の記載のしかたにも影響を与えます。
また、特許異議申立てや特許無効審判。
新規性・進歩性についての理解が十分であれば、
調査により発見した文献で、他社特許を取消しにし、
無効にできるかを、より正確に判断することができます。
当然のことながら、特許異議申立てや特許無効審判において、
望む結果も得られやすくなります。
■このように、新規性・進歩性への理解を深めることは、
拒絶理由通知への対応だけでなく、
特許の実務の様々な側面への波及効果があります。
どのような場合に発明の新規性や進歩性が
肯定され、或いは、否定されるのかを理解し、
その場に応じた適切な対応をとることは、
特許の実務者にとっての必須スキルである、
と言っても言い過ぎではない、と思っています。
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