こんにちは。田村良介です。
少し遅くなりましたが、本年、第1回目のメールマガジンになります。
本年もよろしくお願い申し上げます。
昨年12月になりますが、ある大手企業様で、
技術者・研究者50名を対象に、拒絶理由通知への対応について、
セミナー講師をさせていただきました。
セミナーの内容ですが、
拒絶理由通知に対する意見書を書くためのセミナーではなく、
どのような方針で対応するのかを検討するためのセミナーです。
技術者・研究者の方は、通常、特許事務所や知的財産部から、
対応方針の提案を受けて、その方針で進めるかを判断することが
多いかと思いますが、
その方針に沿って進めることが、
事業に貢献するような特許につながるか?
など、より適切な目で判断していただくことが重要となります。
そういった視点も含めて、拒絶理由通知への対応方針を
どうやって検討するのかを、お話させていただきました。
終了後、アンケートを見せていただきましたが、
大変ご好評をいただき、ほっとしております。
もし、社内研修で、技術者や研究者向けに、
拒絶理由通知への対応セミナーを実施したい、
とのことでしたら、お気軽にお声掛け下さい。
ごくたまにですが、
明細書は別の方が書かれて、拒絶理由通知への対応から
弊所にて担当させていただくことがあります。
正直なところ『明細書がいまいちだなぁ』と思っても、
拒絶理由通知の際に、しっかりと対応すれば、
案外なんとかなるもので、特許にすることもできます。
一方、明細書がしっかりしていても、
拒絶理由通知への対応がいまいちだと、
特許にならなかったり、特許になっても、
あまり有効だと思えないものになります。
ですから、個人的には、
特許明細書の作成も重要だけど、
それと同じか、それ以上に、
拒絶理由通知への対応は重要だと思っています。
多くの企業の方とお付き合いしていると、
皆さん、特許出願の際には、非常に力が入っているのに、
拒絶理由通知の際には、それほど力が入っていないなぁと
感じることがあります。
拒絶理由通知への対応は、
競合他社への牽制となるような有効な特許を取得できるか、
取得できないかの分かれ道となるものですので、
是非、拒絶理由通知への対応にも、
より力を注いでいただきたいなと、思います。
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■当メールマガジンについて
※当メールマガジンは、私個人の特許に対する考え方や
ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容の
すべてが絶対的に正しいとは、考えておりません。
予めご了承いただいたうえで、お読みください。
■メールマガジン「役に立つ特許実務者マニュアル」は
著作権により保護されています。
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こんにちは。田村良介です。
あるベンチャー企業の方から、ご相談がありました。
『以前からご相談していた新商品の件ですが、
商品開発の方向性を変更して、よりシンプルなものに
しようと考えています。
よりシンプルな設計に変更すると、特許もとれなくなるでしょうか?』
たしかに、この方のおっしゃられるように、
よりシンプルな設計にすることで、
特許が認められ得る特徴的なポイントも減り、
その商品について特許を取得するのも難しくなる可能性があります。
私からは、
『たしかに、特許を取得するのは難しくなるかもしれません。』
とお答えしました。
そして、
『ただ、特許を取得することありきで、商品開発をするのではなく、
その商品を使用するお客様にとって便利で、買いたくなるものを
設計してください。』
『そのうえで、最終的に開発されたものをもとに、
どのように出願をすれば、
特許にすることができるかを検討させていただきますので。』
ともお答えしました。
競合他社から類似の商品を販売されたくない、
という考えが先行しすぎると、
特許を取得できるかどうかで、
商品開発の方向性が左右されてしまうことがあります。
ですが、より良い商品を設計、開発し、
そこに何か技術的な特徴があれば特許を取得する、
というのが、本来あるべき形だと思っています。
よりシンプルな設計の商品だったとしても、
従来にないもので、その商品を使用するお客様にとって
便利なものを開発したのであれば、
シンプルな設計の中にも、
どこかに技術的な工夫が含まれているはず。
そこで、特許を取得できる可能性もあります。
新商品を開発する目的は、特許を取得することではありません。
よりお客様に喜んでいただける商品を開発して、
収益をあげることです。
ですから、特許を取得することありきで、
商品開発をするのではなく、
よりよい商品を開発したうえで、
どうすれば、他社に模倣されないような特許を
取得できるのかを、頭をひねって考える、
という進め方が、あるべき進め方であると考えています。
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こんにちは。田村良介です。
『仕事をしていて、どんなときが楽しいか?』
以前、この問いに対して、ある方から
『人に喜ばれたり、褒められたときに楽しいです。』
という回答をいただいたことがあります。
『働く』の語源は「傍(はた)を楽にする」だそうです。
人に喜ばれる、ということは、しっかり働けている
証拠ですよね。
私も、仕事をしていて、お客様のお役にたって、
喜んでいただきたいです。
実は、『仕事の楽しさ』ということを考えたとき、
もう1つの側面があるのではないかと考えています。
『人に喜ばれたり』というのは、仕事の結果・成果
ですよね。
いい結果が生まれたから楽しい、というのはもちろんなのですが、
いい結果が生まれるか、生まれないかにかかわらず、
仕事を進めるプロセスそのものを楽しむと、
もっと仕事が楽しくなるはず、と思っています。
難しいことにチャレンジをして、
工夫をしたり、試行錯誤することにも楽しさがあります。
愚痴を言うようでなんなのですが(笑)、
最高の『請求項』が書けたと思っても、
最高の『意見書』が書けたと思っても、
そんなにお褒めの言葉がいただけるわけではありません(泣)。
なので、結果だけでなく、プロセスも楽しんでしまいましょう、
という話です。
そうやって仕事のプロセスを楽しんでいると、
自分自身の取り組んでいる分野についての『オタク』に
なっていきます。
専門家といった方がかっこいいのですが、
『オタク』の方がニュアンスが近いように思います。
でも『オタク』になれば、
必要な知識も覚えようと思わなくても覚えますし、
いつもそのことについて考えるので、理解も深まりますし、
スキルも伸びていきます。
私の場合ですと、『特許オタク』、『拒絶理由通知オタク』
と言えるかもしれません。
あまり、かっこよくないですが(笑)。
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こんにちは。田村良介です。
請求項を記載する際によくある失敗が、
発明の対象となっている製品そのものに引きづられて、
請求項を記載してしまうことです。
例えば、発明品が、レーザーを照射して被加工品を
切断していたとします。
そうすると、
「・・レーザー照射により被加工品を切断する切断手段・・」
という請求項を記載してしまうことがあります。
でも、実際は、レーザー照射以外の切断方法でも、
優れた発明の効果が得られる場合があります。
このように、発明品、つまり実施の形態に引きづられて、
請求項を記載してしまうと、仮に特許権を取得したとしても、
他社は、特許権侵害とならないように回避をしたうえで、
発明のコンセプトだけを真似することができてしまいます。
上の例の場合であれば、
「レーザー照射」以外の方法で、被加工品を切断すれば、
特許権の侵害を回避することができます。
最も重要なのは、
『発明の本質を捉えた請求項』を記載すること。
特許を取得したとしても、
請求項に不要な記載が入っていたり、
本質からずれた記載となっていると、
それだけ簡単に、
特許権侵害を回避されてしまうことになります。
では『発明の本質を捉えた請求項』を記載するには、
発明の効果が発揮される理由を考え抜く必要があります。
発明の効果は、どのような原理・現象で発揮されるのか、
その原理・現象が発現されるために、必要な要素はなにかを
考えぬきます。
「これを別の要素に置き換えると、どうなるだろう?」
「この要素を取り除いたら、どうなるだろう?」
といったことを、あわせて考えると良いかもしれません。
請求項を書いた後、或いは、チェックをするときに、
そういった視点で考えていただくと、
請求項に、不要な記載が入っていたり、
本質からずれた記載となっていることにも気付くかもしれませんね。
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こんにちは。田村良介です。
先日、知財部のご担当の方から、
『開発者から発明のヒアリングをするときに、
何か気を付けていることはありますか?』
というご質問を受けました。
人それぞれ違うとは思いますので、
これが正解ではないかもしれませんが、
私は、主に2つのことに気を付けています。
1つは、開発者の方からお伺いした内容が、
特許が認められる可能性の低いと思われるもので
あったとしても一方的に否定しない、ということ。
特許が認められる可能性が低いと思われる場合は、
『〇〇ような観点で工夫を追加していただくと、
特許が認められる可能性も高くなります。
このような工夫、考えられませんか?』
といったお話をさせていただきます。
いただいたアイデアを一方的に否定をしてしまうと、
開発者の方にせっかくご提案をいただいたのに、
「特許は難しいものだ」という印象を与え、
今後、ご提案をしていただけなくなるかもしれません。
できるだけ次につながるように、
心がけたいと思っています。
もう1つは、
『なぜ、その工夫をすると、優れた効果が発揮されるのか』
を突き詰めること。
優れた効果が発揮される理由、原理を、
開発者の方からお伺いすることで、
発明の本質的な要素は何かを、特定していきます。
開発されたご本人も、優れた効果が発揮される理由を
うまく言語化できていない場合もありますから、
『この場合は、どうなりますか』
『ここは、なぜ、このようになるのですか』
『ここは、〇〇という理由で、こうなるのですか』
みたいに、切り口を変えながら、
頭の中で『なぜ』を繰り返しながら、
質問をしていくと、よいかもしれません。
そのように繰り返していくと、
Aという工夫をすると、Bという理由で、
Cのような現象が起こり、Dという結果になる、
みたいな1つのストーリーができあがり、
発明の本質的要素を、請求項として記載するための
材料が集まってきます。
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