こんにちは。田村良介です。
トヨタ自動車の元副社長をされていた大野耐一さんの
『トヨタ生産方式 脱規模の経営をめざして』という書籍があります。
大野耐一さんは、トヨタ生産方式の生みの親とも呼べる方だそうです。
この書籍の中でも紹介されていますが、
大野耐一さんが提唱したと言われる考え方として、
「なぜを5回繰り返す」というものがあります。
例えば、
何らかのトラブルが発生したときに、
「なぜを5回繰り返す」ことで、トラブルの真の原因を探ることができる、
というものです。
なぜを5回繰り返さないと、すぐに思いつく答えを結論としてしまい、
表面に見える状況だけについて、対応することになります。
結局、根本的な解決はできず、
何度も問題が繰り返されることになります。
ところで、うちには、4歳の息子がいますが、
母親が叱ると言うことを聞くのに、私が叱ると、私に立ち向かってきます・・・。
『なぜ、私が叱ると、立ち向かってくるのか?』
↓
私を友達だと思っているから。
↓
『なぜ、友達だと思っているのか?』
↓
父親としての威厳を示すことができていないから。
↓
『なぜ、威厳を示すことができていないのか?』
↓
息子と一緒になって、バカな遊びをしているから。
といったように、真の原因を探りあてることができます。
それはさておき、
「なぜを5回繰り返す」ことで、
ものごとの本質を探りあてることができるのだと思います。
例えば、発明の捉え方についても、
なぜを繰り返すことで、発明の本質を探りあてることができます。
『なぜ、断面が六角形の鉛筆は、
断面が円形の鉛筆よりも転がりにくいのか?』
↓
断面が多角形だから
↓
『断面が多角形だとなぜ転がりにくいのか?』
↓
断面の中心から外周までの距離が異なるから
↓
『なぜ、中心から外周までの距離が異なると、
転がりにくくなるのか?』
↓
転がる際に、重心の高さが変わって、
水平方向に移動する運動エネルギーが、
垂直方向に移動する運動エネルギーに変換されて
消費されるから。
断面が多角形だから、という結論でとまっていた場合、
請求項は、「断面が多角形の鉛筆。」
となります。
断面の中心から外周までの距離が異なるから、という結論の場合、
請求項が、
「中心から外周までの距離が異なる形状の断面を有する、鉛筆。」
といったような感じになります。
この場合、断面が多角形以外のもの、
例えば、断面が楕円形のものも含まれます。
楕円形の鉛筆について、商業的に需要があるかどうかは別として、
『なぜ?』『なぜ?』と転がりにくい原因を追求することで、
発明の本質に近づきますし、権利範囲もより広がります。
六角形の鉛筆が転がりにくい理由として、
転がる際に重心の高さが変わる、という結論にいたった場合には、
請求項が・・・。
すみません。
大変そうなので、割愛させてください(笑)。
このように、「なぜを5回繰り返す」ことで、
発明の本質的な要素を探りあてることができるのではないか
と思います。
|◆今日のポイント◆
└───────────────────
☆発明を捉える際には、「なぜを繰り返す」。
☆「なぜを繰り返す」ことで、
発明の本質的な要素を捉えた請求項を
記載することができるのではないか。
☆結果として、より広い権利範囲の請求項を
記載することができる。
————————————————————————
■当メールマガジンについて
※当メールマガジンは、私個人の特許に対する考え方や
ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容の
すべてが絶対的に正しいとは、考えておりません。
予めご了承いただいたうえで、お読みください。
■メールマガジン「役に立つ特許実務者マニュアル」は
著作権により保護されています。
————————————————————————