ビジネスモデル特許を取得するための費用(相場)は?
「ビジネスモデル特許を取得したいけれども、費用が気になる」、そんな方のために、一般的に、ビジネスモデル特許を取得するための費用はどの程度なのかを解説いたします。
ビジネスモデル特許を取得するための費用と、その他の分野の特許を取得するための費用とで、大きく変わるわけではありません。
ただ、特許事務所に依頼する場合と、特許事務所に依頼せずに、自社或いはご自身で手続きを行う場合とで、かかる費用は大きく異なります。ここでは、これらの2つのケースに分けてご説明いたします。
1.特許事務所に依頼せずに、自社のみで手続きをする場合
出願時
特許出願をする際には、願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、図面といった書類を準備する必要がありますが、これらを特許事務所に依頼せずに、自社でご用意される場合、その費用はかかりません。
特許出願をする際に、特許印紙14,000円を用意します。
出願審査請求時
出願審査請求をする場合は、特許印紙138,000円+請求項×4,000円が必要となります。
ですから、特許出願の際に、特許請求の範囲に記載する請求項の数が増えれば増えるほど、出願審査請求をする際の費用は高くなります。
例えば、請求項が1項の場合であれば、142,000円となり、請求項が5項の場合であれば、158,000円となります。
拒絶理由通知が届いた場合
拒絶理由通知が届いた場合の意見書や手続補正書の提出については、特に費用はかかりません。
意見書とは、特許庁の審査官に対して、発明が新規性や進歩性を有するものであることを説明する文章です。手続補正書とは、特許出願の際に提出した明細書や特許請求の範囲、図面などの内容を補正するもので、主に、請求項の内容を変更するために用いられます。
特許査定が届いた場合
審査の結果、特許査定がだされた場合は、3年分の特許料を特許印紙にて支払う必要があります。
1年分の特許料は、2,100円+請求項×200円ですから、3年分の特許料は、6,300円+請求項×600円となります。
例えば、請求項が1項の場合であれば、6,900円となり、請求項が5項の場合であれば、9,300円となります。
ですから、ビジネスモデル特許を取得するための費用としては、特許出願時の費用、出願審査請求時、特許料の納付時の費用の合計で、少なくとも162,900円が必要となります。
請求項の数が増えると、それにあわせ、費用もより高額となります。
なお、審査の結果、拒絶査定がだされてしまい、その対応として、拒絶査定不服審判を請求する際には、さらに追加の特許印紙が必要となります。
2.特許事務所に依頼する場合
特許事務所に依頼する場合は、特許庁へ支払う特許印紙の他に、特許事務所の手数料が発生します。その発明の内容や、特許事務所によっても料金は異なりますので、正確な費用をここでお伝えすることは難しいですが、多くの特許事務所にあてはまる平均的な費用について、お伝えします。
出願時
まずは、特許出願をする際の費用です。多くの特許事務所では、特許請求の範囲の請求項の数、明細書のページ数、図面の数によって、特許出願の際の費用は変わってきます。
特許印紙代14,000円とあわせて、税込みで約35~45万円程度になることが多いようです。
出願審査請求時
出願審査請求の際の費用は、特許印紙138,000円+請求項×4000円と、特許事務所の費用1~2万円が必要となります。税込みで、合計約16~19万円程度になります。
出願審査請求をした出願のうちの多くは、審査の結果、拒絶理由通知が通知されることになります。統計をしっかりとったわけではありませんが、当事務所では、控えめに見ても、出願審査請求をした出願のうち、8割以上について拒絶理由通知がだされます。
拒絶理由通知が届いた場合
拒絶理由通知が届いた場合の意見書や手続補正書の提出手続きについては、特許事務所の対応費用が発生します。
案件の難易度や事務所によっても異なりますが、意見書と手続補正書の両方を提出して、税込みで、約10~18万円程度になることが多いようです。ただし、案件の難易度が低ければ、意見書、手続補正書の作成にかかる労力も少なくなりますので、特許事務所の費用も少なくなることがあります(約10万円を切る場合もあります)。
特許査定が届いた場合
審査の結果、特許査定がだされた場合は、3年分の特許料に加え、特許料の納付手続きの費用、成功謝金などの費用を特許事務所に支払います。すでに、述べましたように、特許庁へ支払うための3年分の特許料は、6,300円+請求項×600円です。それに加え、特許料の納付手続きの費用1~2万円、成功謝金の費用10~16万円程度が必要となります。
ですから、ビジネスモデル特許を取得するための費用としては、特許出願時の費用、出願審査請求時、特許料の納付時の費用の合計で、約80~100万円程度は、少なくとも必要となります。
なお、複数回、拒絶理由通知が出されるケースもあり、そのような場合は、さらに費用がかかりますし、審査の結果、拒絶査定がだされてしまい、その対応として、拒絶査定不服審判を請求する場合も、さらに費用がかかります。
また、多額の費用をかけても、最終的に、ビジネスモデル特許が認められないケースもあります。
当事務所の費用について、お知りになりたい方は、「当事務所の費用について」をご確認ください。
3.特許事務所に依頼すべきか、自社のみでビジネスモデル特許を取得すべきか
このように見ていくと、特許事務所に依頼する場合と、特許事務所に依頼しない場合とで、ビジネスモデル特許を取得するための費用が大きく違うことがわかります。
費用だけを比較すると、特許事務所に依頼せずに、自社だけですべての手続きを行った方が得策であるようにも思われます。
ただし、特許出願のための書類作成について十分なご経験が自社若しくはご自身にない場合は、特許事務所に依頼されることをお勧めいたします。
いくら発明の内容が優れていても、特許出願の際の書類の内容や、拒絶理由通知の際の対応が悪ければ、本来、特許が認められるべきものでも、特許が認められなくなります。また、仮に、特許が認められたとしても、本来よりもずっと特許権の権利範囲が狭いものとなったり、あまり有効なものではない権利となってしまう可能性が高くなります。
有効なビジネスモデル特許を取得し、そのビジネスモデルでの事業を成功させることができれば、ビジネスモデル特許を取得するための費用は、十分に回収することができると思いますので、ご予算を考慮しつつ、可能なかぎり特許事務所に依頼されることを強くお勧めいたします。
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