世界中で大注目のAmazonのビジネスモデル特許
今、世界で大注目のAmazonのビジネスモデル特許の具体例について、ご紹介させていただきます。
実は、Amazonの2018年の研究開発費は226億ドル(2兆5600億円)で、2017年に続き、2年連続で研究開発費は世界一なのです。Amazonといえば、ECサイトの運営が主要な事業ではあるのですが、クラウドサービスでもマイクロソフトやIBMをおさえて世界シェアNo.1になっているなど、他分野でも著しい成長を遂げています。
Amazonは、日本でも800件以上の特許を出願し、500件以上の特許を取得しています。なお、Amazonの特許出願の多くは、Amazon.com, Inc.ではなく、子会社のAmazon Technologies, Inc.から出願されています。
事例1:ワンクリック特許
(特許4959817号 特許権者:Amazon.com,Inc. 出願日:1998年9月14日)
Amazonの特許の中で最も有名なものといえば、このワンクリック特許なのではないでしょうか。
ワンクリック特許は、1998年9月14日に特許出願されたもので、2012年3月30日に特許が登録されています。
通常、特許権は、出願の日から最大で20年まで有効ですので、このワンクリック特許は、もうすでに特許権の有効期間を終了しています。ですから、現在は、誰もがこのワンクリック特許を利用することができます。
この特許の内容を簡単に説明すると、以下のようなものです。
商品を注文するためのシングル・アクションの指示ボタンをディスプレイに表示し、この指示ボタンが押されると商品の注文が完了し、注文要求と購入者を特定できる情報がサーバに送信されます。同じ購入者から複数の注文要求があった場合は、複数の注文を1つの注文に結合します。
上記を読んでいただけるとわかるように、実は、「ワンクリックで決済ができる」というECサイトを運営しただけでは、この特許を実施したことにはなりません。
ワンクリックでの決済に加え、ワンクリックで決済された複数の注文を1つにまとめるという処理を行って、はじめて、この特許を実施したことになります。
Amazonとしては、「ワンクリックで決済ができる」点だけを特徴にして特許にすることを考えていましたが、それだけでは、特許が認められなかったようです。そこで、「ワンクリックで決済ができる」点と、「複数の注文要求を1つの注文に結合する」点を特徴とした請求項にし、特許が認められたようです。
ワンクリックで商品を発注できる受発注処理システム
- アイテムを特定する情報と、特定されたアイテムを注文するのに実行すべきシングル・アクションの指示部分を、ディスプレイに表示する。
- シングル・アクションは、アイテムの注文を完成させるために要求される唯一のアクションであり、シングル・アクションの実行に続いて注文の確認を要求しない。
- シングル・アクションが実行されることに応答して、アイテムの注文要求とクライアント識別子とを、サーバ・システムに送信する。
- サーバ・システムが、シングル・アクション注文要求と、クライアント識別子に関連付けられた1または複数の以前のシングル・アクション注文要求とを組み合わせ、1つの注文に結合する。
- 発注する時に送信をする情報を最小限に抑える
- シングル・クリック(1- click )するだけで商品を注文できる
事例2:Amazon Go
(特許6463804号 特許権者: アマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッド 出願日:2014年6月18日)
Amazon Goは、無人でも商品の決済ができるコンビニエンスストアです。2018年1月に、Amazon Goの1号店が、アメリカのシアトルでオープンし、話題となりました。
スマートフォンに専用のアプリをダウンロードし、そのスマートフォンをもって入店をすることで、レジ等を通らなくても、商品を購入することができます。
このAmazon Goについての特許は、2014年6月18日に出願され、2019年1月に特許が認められています。
この特許の内容は、
まず、ユーザの手を撮影し、さらに、ユーザが店舗内で商品を手にとった際にも、その商品と手を撮影し、そして、撮影した2つの画像を比較することで、ユーザが商品を手に取ったと判断し、商品が置かれていた位置をもとに、ユーザが手に取った商品を特定して、ユーザの購入リストに追加する
というものです。
レジのないコンビニシステム
- プロセッサと、プロセッサに実行させるプログラム命令を格納するメモリから構成されるコンピューティングシステムである。
- 在庫場所にユーザが到達する前に撮影されたユーザの少なくとも一部の第1画像を受信させる。
- ユーザが在庫場所から離れた後に撮影されたユーザの少なくとも一部の第2画像を受信させる。
- 第1画像と第2画像との比較の少なくとも一部に基づき、第2画像がユーザに保持されている対象物を含むことを判断させる。
- 第2画像がユーザに保持されている対象物を含むとした比較判断に応答して、対象物と在庫場所に関連付けられた在庫の物品との一致を判断させる。
- 第1画像: 手の画像
- 第2画像: 商品を掴んだ手の画像
- 対 象 物 : 商品
- レジでスキャンをしなくても、商品を購入したことがわかる
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