特許を通して貴社の事業発展をサポートします

こんにちは。田村良介です。


『読書百遍意おのずから通ず』という諺(ことわざ)があります。

難解な文章でも繰り返し読めば、その意味が自然と分かってくる、

という意味のようです。


子供のころ、伯父から教えてもらったのですが、
今でも覚えています。


実際には100回も読む必要がなくて、

すごく読みにくい文章でも、繰り返し読むことで、
その意味が分かってくることがあります。


一度目に読んで気が付かなかったことが、
二度目、三度目だから気付く、ということもあります。


私もピーター・ドラッカーの著書を初めて読んだとき、
ほとんど、頭の中に入ってきませんでしたが、

そこを踏ん張って、繰り返し読んで、
少しずつ読めるようになってきたことがあります。



さて、この『読書百遍意おのずから通ず』ですが、
特許の仕事でも、活用できます。

明細書も読みにくいものがありますが、
同じところを何度も読むことで、

その意味がわかってきます。


明細書だけでなく、
拒絶理由通知を読むときにも活用できます。


拒絶理由通知は、短い文章でまとめられているため、

審査官からの説明が必要最小限に省略されていて、

その意味がわかりにくかったり、
審査官の意図を誤解しがちです。


審査官の説明がよくわからないとき、
拒絶理由通知への対応策に困ったとき、などに、

拒絶理由の内容を何度も繰り返して読むことで、

「あれ、これどういうことかな?」
「なぜ、わざわざ、こんなことを書いているんだろう?」
「なるほど、そういうことか!」

といったように、気付きが生れます。



こわいのは、審査官の考えていることを
理解しているつもりで、理解できていないこと。


審査官の判断をまちがって理解をしてしまうと、

意見書で主張する内容も、補正の内容も
的外れなものとなる可能性があります。


拒絶理由の内容さえ、正確に把握できれば、
あとは、その対策を考えるだけです。



◆今日のポイント◆
└───────────────────

 ☆『読書百遍意おのずから通ず』は、
  特許の仕事でも活用できる。

 ☆拒絶理由の内容を繰り返し読むことで、
  審査官の主張を正確に把握できる。


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※当メールマガジンは、私個人の特許に対する考え方や
 ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容の
 すべてが絶対的に正しいとは、考えておりません。

 予めご了承いただいたうえで、お読みください。

■メールマガジン「役に立つ特許実務者マニュアル」は
 著作権により保護されています。

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こんにちは。田村良介です。

子供のころから、勉強は好きな方だったのですが、
宿題だけは、どうも気が進みませんでした。


特に、高校生の頃は、部活で精一杯で(言い訳?)、
宿題を、ほとんど提出しなかったような(汗)

当然ですが、成績はさんざんな結果に。。。


高校1年生のときに、夏休みの宿題を、
いっさい提出しなかったのですが、

国語の先生だけは、しつこかったです。
(今となっては、ありがたい話なのですが)


夏休みが終わった後、先生から

「読書感想文だけでも、提出しなさい」

とご忠告をいただきました。


その後も、

「2学期が終わるまでには、提出しなさい」

「3学期が始まるまでには、提出しなさい」

と何度も、何度も。


最後には、

「3学期が終わるまでには、提出しなさい」
と。

先生、ごめんなさい。



お恥ずかしい話ではありますが、

さすがに、私も、読書感想文だけは、
3学期の最終日(高校1年生の最終日)に提出をしました。

(もっと早くに提出しろよ、という話ではありますが)


当然、夏休みが終わった後も、次々と宿題がだされるわけですが、

先生は、3学期が終わるまで、
読書感想文の提出だけを求めてきました。


もし、途中で「読書感想文を提出しなさい」と言うのをやめて

「冬休みの宿題を提出しなさい」と言われていたら、

私の宿題は全滅していたかもしれません(笑)




ところで、話は、ガラッと変わります。


拒絶理由通知がだされた後、意見書を提出すると、
再度、拒絶理由通知がだされることがあります。

この後、さらに、意見書を提出しても、
結果として拒絶査定がだされると、

拒絶査定不服審判を請求することになります。


このように審査官と何度もやりとりをする際、
途中で、反論のポイントを変えてしまうのは、

あまり得策でない場合があります。


例えば、

「A手段と、B手段と、C手段とを備える通信装置」

という請求項について、新規性・進歩性がないとの
拒絶理由が通知されたとします。

一度目の意見書提出の際に、A手段をa手段と補正して、
「通信速度に優れる」と主張したとします。

ですが、この反論が認められず、

二度目の意見書提出の際に、C手段をc手段と補正して、
「消費電力が小さい」と主張したとします。


このような場合、
二度目の意見書提出で、特許が認められたとしても、

あまり良い対応ではないかもしれません。


というのは、

もしかすると、一度目の意見書提出の際に、
C手段をc手段と補正していれば、

A手段をa手段と補正しなくても、
特許が認められたかもしれません。


このように、審査官とのやりとりの途中で、
反論のポイントを変えてしまうと、

結果的に、
特許権の権利範囲が狭くなってしまうことがあります。


もちろん、例外はあるとは思うのですが、
2度目の補正の際に、

a手段と相乗効果を発揮して、
「通信速度に優れる」ことがさらに主張できるような、
別の補正を考える方が、

より有効な権利の獲得につながると、言えそうです。



先ほどの国語の先生のように、

同じポイントで、何度も何度も審査官の理解を得る、

ということが、より有効な特許権の取得につながります。


先生のご指導が、今の仕事にも活きています(笑)
先生、ありがとうございます!



◆今日のポイント◆
└───────────────────

 ☆審査官とのやりとりの際に、反論のポイントを
  変えることは、得策ではない場合がある。

 ☆同じポイントで反論できないかを考えることが、
  より有効な特許権の取得につながる。


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あけましておめでとうございます。
田村良介です。
本年もよろしくお願い申し上げます。


「一年の計は元旦にあり」
と言いますが、もう計画や目標を立てられましたでしょうか。


年の初めに目標を立てたとしても、

多くの場合は、すぐに、その目標を忘れてしまうそうです。


私も、思い当たります。。。

「ダイエットをする」と宣言しても、
3日後には、甘いものを食べているとか(汗)


目標を忘れないための方法としては、

目標を紙に書いて、目標を書いた紙を、持ち歩いて見ること、

だそうです。


日頃から、目標を意識することで、目標を達成する可能性も、ぐっと高まる、

ということなんだと思います。


「○○大学合格!」といったように、目標を紙に書いて、壁に貼る、

というのは、良い方法なんですね。



毎年、掛け声になっているダイエットを、

今年こそは、掛け声に終わらせないようにしたいです。



さて、今日の本題です。


特許請求の範囲は、

権利を受けようとする発明を特定する
という役割をはたすものです。


一方、明細書は、

その発明の内容を具体的に説明する
という役割をもっています。


言い換えれば、明細書は、

特許法36条4項1号の実施可能要件、
(当業者が発明を実施できる程度に記載されていること)

特許法36条6項1号のサポート要件、
(特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載したものであること)

を満たすための役割をはたすものです。



実は、これだけではなく、
明細書はもう一つの役割をもっています。


それは、

将来的に、
特許請求の範囲を補正する必要がでてきたときに、
その補正の根拠となる


というものです。


明細書を書くとき、

実施可能要件とサポート要件については、意識をしながら書きますが、

補正の根拠を記載している、ということは、
意識をしないと忘れがちになります。


日本語の文章は、主語や述語が省略されていても、

前後の文脈で、なんとなく意味が通じるような文章になることがあります。


ですから、明細書を書いているときに、

曖昧な表現になっていることに気が付かない、
必要なことを省略していることに気が付かない、

といったようなことが、起こります。


その結果、いざ補正をしようとなると、
明細書をもう少し明確に書いておくべきだった、

ということになります。



対策としては、

明細書を書くときに、

将来、この記載をもとに、特許請求の範囲を補正できるか?

ということを意識すること。

これで、曖昧な表現も、かなり減らすことができます。



目標も、日頃から意識をすることで、
達成の可能性が高まるのだと思いますが、

明細書も、補正の可能性を意識することで、

曖昧な表現ではなく、より明確な文章を書くことができます。



◆今日のポイント◆
└───────────────────

 ☆明細書を書くときに、『補正の根拠を記載している』
  ということを意識をしないと忘れがちになる。

 ☆補正の可能性を意識しながら、明細書を書くことで、
  明確な文章を書くことができる。


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-真田丸と発明の効果- 第120号

2016.12.28 カテゴリー/ Column 

こんにちは。田村良介です。

先日、NHK大河ドラマ「真田丸」が完結しましたね。

今年は、すっかり「真田丸」にはまってしまって、
毎週、欠かさず視ていました。


三谷幸喜さんの、随所にユーモアを盛り込みつつも、
緻密につくりこまれた物語の構成に、

引き込まれました。


「真田丸」の主人公は、真田信繁(幸村)です。

真田信繁は、大阪の陣の際に、豊臣方について、
徳川家康の本陣まで攻め込んだことで、

後世に「日ノ本一の兵(つわもの)」と称えられた人物です。


物語は、武田家の滅亡から大阪の陣までの
30年以上にわたる、真田家の奮闘を描いたものです。


物語の開始当初、堺雅人さん演じる真田信繁は、10代の若者。

才気はあるが、まだまだ経験も浅い若者が、
大阪の陣では、戦国屈指の名将に変貌します。


また、内野聖陽さん演じる徳川家康も、
物語の開始当初は、数いる戦国大名の一人。

大阪の陣では、老獪さに磨きがかかり、
天下人の威厳・風格がただよっています。


同じ俳優さんが演じる真田信繁・徳川家康でも、
時間の流れに応じて、成長をしています。


真田信繁という登場人物の本質的な部分を残しつつ、

見せ方、演じ方を変えることで、
人物の変化が表現されているような気がします。

俳優さんて、すごいですよね。



ところで、話は、大きく変わるのですが、

特許の世界でも、見せ方で、大きく印象が変わることがあります。


例えば、拒絶理由通知などで、進歩性を主張する場合、

実施例と比較例の実験データの結果を比較して、
発明が優れた効果を有することを示す場合があります。


例えば、

請求項が「ポリマーXと、硬化剤Yからなる組成物」であるとします。

そして、引用文献に対応する比較例が、
「ポリマーX’と、硬化剤Yからなる組成物」であるとします。


実施例の組成物から得られる成形品の強度が「30」、
比較例の場合の強度が「25」の場合、

強度の違いはあるものの、それほど大きな違いがある、
といった印象は受けません。


ですが、硬化剤を添加しない場合の強度が「24」とすると、
見え方は、全然変わってきます。


実施例の場合は、硬化剤を添加することで、

強度が「24」から「30」へと、大幅に向上しているのに対し、

比較例の場合は、硬化剤を添加することで、

強度が「24」から「25」へと、わずかしか向上していません。


硬化剤を添加することによる、
強度の向上の度合いには、相当な差があるといえます。


このように、同じ実験データであったとしても、

見せ方次第で、全く異なる見え方になる場合があります。


実験の結果をどのように見せれば、
より効果的かを考えることで、

全く違う印象を与えることもできます。



2016年のメールマガジンの発行は、今回が最後となります。

良いお年をお迎えください。

来年もよろしくお願い申し上げます。




◆今日のポイント◆
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 ☆発明の効果を実験データで示す場合、見せ方を工夫することで、
  発明の効果が優れたものであることを印象づけられる場合がある。


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こんにちは。田村良介です。


先日、自宅近くのパン屋さんで、美味しそうなパンがないか、探していました。

すると、目を疑う商品が・・・。


といっても、パンそのものは、普通のパン。
驚くべきなのは、そのネーミングです。

そのネーミングとは・・・・


『パン・パイナップルアップル・パン』です!
『ペン・パイナップルアップル・ペン』ではないですよ。

『パン・パイナップルアップル・パン』です!

ややこしいですね。


今、大流行中のピコ太郎さんの『ペン・パイナップルアップル・ペン』。

この「ペン」の部分が「パン」で置き換えられています。


さっそく、このパンを買いました。
美味しかったです。

パンには、リンゴのコンポートがのっています。
パイナップルの味はしませんでした(笑)。


このネーミングの凄いところは、
音楽(お笑い?)という全く異なる分野のものをパンのネーミングに応用したこと。


特許業界の言葉で置き換えると、

「技術分野の関連性がない」といったところでしょうか。


もう一つ、このネーミングの凄いところは、

「ペン」→「パン」という簡単な変更ではあるけれど、

パイナップルやアップルを使ったパンであることが、消費者に伝わるということ。


特許業界の言葉で置き換えると、

「周知技術の転用」ではあるけれど、
「引用例にはない異質な効果を有する」 と表現できるのかもしれません。



というわけで、

『パン・パイナップルアップル・パン』というネーミングを特許的な視点で考えてみると、

全く異なる分野のネーミングを応用したものであり、

『ペン・パイナップルアップル・ペン』にはない、

優れた効果を有するものであると、言えそうです。


総合的にみると、このパンのネーミングは、
容易に思いつかない、進歩性のあるもの、

と言えるかもしれません。


何でも特許の業界に置き換えてしまうのは、
職業病かもしれません。


このように、

日常の出来事を、特許の視点から考えてみると、
特許の実務の訓練になるかも?




◆今日のポイント◆
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 ☆日常の出来事を、特許の視点から考えてみる。

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