こんにちは。田村良介です。
先日、自宅で、突然強い痛みに襲われました。
「痛っ!」
ふと見ると、レゴブロックを踏んでしまったようです。
足の親指の裏側が、痛い・・・。
5歳の息子がいるのですが、ブロックで遊んだあと、
片づけ忘れたものがあったようです。
ブロックに気が付いていれば、
当然、ブロックを踏むことはありませんし、
痛い思いもしませんでした。
そういえば、「はじめの一歩」という
ボクシング漫画があるのですが、
はじめの一歩でも、
「来ることが分かっているパンチは耐えれるけど、
意識していないところから来るパンチは、耐えられない」
みたいな話があったような。
それにしても、痛かったです。
今回は、息子のしかけた罠にしてやられました。
特許の世界でも、同じようなことがあるかもしれません。
他社特許のことを把握せずに、
事業を進めていると、手痛いことになりますが、
自社の障害となる他社特許の存在を、
問題になる前に、知ることができていれば、
時間をとって、対策をとることができます。
対策としては、
・異議申立てや無効審判などで、特許を取消し・無効にする
・製品の設計・仕様を変更する
・ライセンスを受ける・特許権を買い取る
・クロスライセンスをする
・先使用権を主張する
・事業を中止する
などが、あげられそうです。
障害となりうる特許の存在がわかっていれば、
特許を無効にするための文献を探す時間もとれますし、
製品の設計を変更するにしても、
時間をかけて検討することができます。
来ることが分かっているパンチは耐えることができますので、
まずは、
障害となりうる特許を把握することが重要
と言えるかもしれません。
|◆今日のポイント◆
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☆来ることが分かっているパンチは耐えることができる。
まずは、自社にとって障害となりうる特許を把握する
ことが重要。
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※当メールマガジンは、私個人の特許に対する考え方や
ノウハウをお伝えするものであり、ご紹介する内容の
すべてが絶対的に正しいとは、考えておりません。
予めご了承いただいたうえで、お読みください。
■メールマガジン「役に立つ特許実務者マニュアル」は
著作権により保護されています。
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こんにちは。田村良介です。
前回、ジャパネットたかたの高田明さんの
著書「伝えることから始めよう」(東洋経済新報社)について、
ご紹介をさせていただきました。
この本では、
高田社長が「伝わるコミュニケーション」について、
語っていらっしゃいます。
高田社長が、家電を紹介することで、
その家電がたくさん売れていく理由を垣間見ることができます。
印象に残ったのは、
『伝えたいのには理由があります。
その理由に曇りがあると、伝えたいことは伝わらない。』
『私は「ただ伝えるのではなく、伝わるようにしないといけない」
といつも思っています。
そのために大切なのは、やはりパッション、情熱ですよ。』
『私が何よりも心掛けてきたのは、
上手くではなく、わかりやすく伝えることです』
『「何を伝えたいのか」を明確に意識することが、とても大切です』
などなど、
ご紹介したいメッセージは、まだまだあります。
話と文章の違いはあるものの、
私たちの仕事でも「伝えること」「伝わること」は必須ですので、
参考になる部分が多々ありました。
わかりやすく伝える、ということに関してですが、
一つ一つの文ごとに、何を伝えたいのかが明確に意識されていなければ、
読み手に伝わる、わかりやすい文章にはなりません。
そして、
何を伝えたいのかが明確に意識できていない場合、
実は、伝えたいことについての整理・理解が、
不十分な場合が多いのではないかと思っています。
伝えたいことについて、
しっかりと理解できていなければ、
わかりやすい表現で説明をすることはできません。
専門用語ばかりで、わかりにくい文章というのは、
実は、文章を書く前で決まっていて、
伝えたいことへの理解、本質の把握が不十分だから、
専門用語を使わないと説明できなくなる、
ということではないかと。
私もそうなのですが、
分かりやすい文章になっていない場合は、
理解しているつもりで、
理解できていないことが、多々あります。
同じことを伝える場合であっても、
専門用語を使った説明もできれば、
専門用語を使わずに説明することもできる、
といったように、読み手によって、
表現を変えることができるのが理想だと思います。
明細書にしても、意見書にしても、
分かりやすく書けていない場合は、
文章を修正する前に、一歩立ち返って、
伝えたいことについて十分な理解できているか、
振り返ってみると、良いかもしれません。
えーと、
このメールマガジンがわかりやすいかどうかは、
あまり追及しないでくださいね(笑)
|◆今日のポイント◆
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☆一つ一つの文ごとに、「何を伝えたいのか」を
明確に意識することで、わかりやすい文章になる。
☆伝えたいことについての整理・理解が不十分だと、
何を伝えたいのかを明確に意識することができない。
まずは、伝えたいことの整理・理解から始める。
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こんにちは。田村良介です。
最近、高田明さんの「伝えることから始めよう」
(東洋経済新報社)を読んでいます。
「ジャパネットたかた」の高田 前社長、
といった方が分かりやすいかもしれません。
未だ途中ですが、すごく面白いです。
この本を読むと、
高田社長が、年商3億円ほどのカメラ店を、
年商1700億円の通販企業にまで
成長させることができたのも、納得できます。
印象に残っているメッセージとして、
『目の前のことを一生懸命にやっていれば、
自然と次の課題が見えてくる』
『課題ができると、不思議なことに、
それを達成するためのアイデアが生まれてきます』
『できない理由を考えるのではなくて、
どうしたらできるか考えて、
できることはなんでもチャレンジしたんです』
など。
佐世保で、観光写真を販売していたときは、
夜に宴会場で写真撮影をし、深夜に現像し、
朝に旅館まで行き、写真を販売する。
忙しくて、朝に写真が間に合わなければ、
団体の旅行客のフェリーの到着先(大阪、神戸)まで、
パートさんが電車で先回りをする、
といったエピソードが書かれています。
佐世保から大阪まで電車で先回りって、凄くないですか?
まさに、
「どうしたらできるか考えて、できることはなんでもチャレンジ」
の精神ですね。
さて、今日の本題です。
特許庁から届いた拒絶理由通知について、
引用文献の内容が、
特許を受けようとする発明にあまりにも近くて、
対応に困ることがあります。
正直、「特許にするのは難しいかも」と思うこともあります。
ただ、そんな場合でも、あきらめずに、
審査官の主張におかしな点はないか?
何か反論できることはないか?
と必死に考えます。
拒絶理由の内容が厳しくても、
できる限りのことをするわけです。
そうやって、
あきらめずに粘って粘って考えていると、
ふと、審査官に反論できそうなアイデアが
頭の中に、降りてくることがあります。
意見書を提出して、数か月後、
忘れたころに、結果は、やってきます。
そうすると、「この案件はさすがに厳しいだろう」
と思っていたものでも、
意外と、特許査定がだされることがあります。
「え、あれ、特許になったの?」という感じです。
とは言っても、やはり特許にできないこともあるわけですが、
それでも、それはごく一部です。
請求項の範囲をガチガチに狭く限定しなくても、
拒絶理由の内容を的確に把握し、
その発明の本質的な部分を理解し、
そのうえで、必死に考えつくすと、
「これは厳しい」と思われる場合でも、
審査官の判断をくつがえすことができる場合があります。
この仕事をしていると、
ついつい、「これでは特許にならない」などと
すぐに判断をしてしまうことがあるのですが、
このような事例に出会うたびに、
特許にならないと判断するのは、審査官の仕事であり、
特許出願の代理人である弁理士の仕事は、
どうすれば、特許が認められるのかを考えること、
ということを、考えさせられます。
高田社長の「どうしたらできるか考えて」の
精神にならい、
「どうしたら特許にできるかを考える」姿勢を
忘れないようにしたいです。
|◆今日のポイント◆
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☆簡単にあきらめずに、
『どうしたら特許にできるか?』
を考えつくす姿勢をもつ
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こんにちは。田村良介です。
先日、ある方に教えていただきました。
ダイエットをするとき、
食べる物のカロリーの値を気にするのではなく、
それを食べることが健康につながるかどうかを気にするとよい、
ということです。
ファミリーレストランなどでは、
メニューにカロリーが表示されています。
カロリーの数字を見ると、
食べようと思ってたものも、食べられなくなります。
そういったことを続けてると、ストレスになりそうですし、
ダイエットも長続きしないかもしれませんね。
健康的な食生活を意識すれば、自然にカロリーの
高そうなものを食べることも少なくなり、
ダイエットになるのかも。
カロリーの高そうなコカ・コーラーを飲みながら、
ダイエットの話を書いております。。。
説得力がありませんね。
えーと、
お伝えしたかったのは、ダイエットでもなんでも、
適切な基準をもった方がよい、ということ。
特許の分野でも、そうです。
例えば、
特許出願をするか、ノウハウとして保護をするか、
を判断する際の判断基準があります。
特許出願をすれば、その内容は公開されてしまうことになります。
その一方で、審査の結果、特許査定がだされれば、
特許権が発生し、第三者がその発明を実施できなくなります。
特許出願をしない場合は、
発明の内容が公開されることはありませんが、
仮に、他社がその発明と同じ発明をして、
特許出願をしてしまうと、
自社で、その発明の実施ができなくなる可能性があります。
また、適切に管理しなければ、
社外に漏れてしまうリスクもあります。
特許出願をするか、特許出願をせずにノウハウとして保護するのか
について、判断をする必要があるのですが、
その判断について、基準を持っておいた方がよい、
ということです。
判断基準は、企業の戦略や製品の内容によって、
それぞれ異なると思うのですが、
例えば、『発明を実施していることが、外部から発見できるか?』
は、その一つの基準になるものです。
発明を実施していることが外部から発見できるということは、
自社で発明を実施していても、
他社にそのことが伝わってしまうということ。
それであれば、特許出願をしておいた方がよい、
という判断になります。
一方で、自社で発明を実施していても、
他社にそのことが伝わらないのであれば、
ノウハウとして管理しておいた方がよい、
という判断になります。
発明を実施していることが、
外部から発見できないということは、
他社が、その発明の内容を実施していた場合に、
他社製品をリバースエンジニアリングしても、
その発明を実施していることを発見できません。
それであれば、いくら特許をもっていたとしても、
権利行使は難しくなるので、
ノウハウとして管理した方がよい、
ということになります。
ここでは、
『発明を実施していることが、外部から発見できるか?』
ということをご紹介させていただきましたが、
もちろん、判断基準としては、
これ以外にも、
・他社が同じ技術を発明する可能性が高いかどうか
・自社の事業で実施するものであるか
・特許性があるか
などがあるかと思います。
|◆今日のポイント◆
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☆『出願をするか、ノウハウとして管理をするか』
について、基準をもって判断する。
☆『発明を実施していることが、外部から発見できるか?』
は、出願をするか、ノウハウとして管理をするかの
一つの基準となる。
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こんにちは。田村良介です。
以前、ある起業家の方のご相談にのったときの話です。
その方は、ある玩具の発明をされ、
その発明品を販売する会社を設立されました。
この玩具について、特許出願をするだけでなく、
外観の形状についても、複数の意匠出願をした、
とのことでした。
ご相談は、この特許出願について、
拒絶理由がきたのだけど、どう対応すればよいのか?
というものですが、
ご相談の内容はさておき、
おそらくこれらの出願だけで100万円以上を
ご負担されていたと思われます。
この玩具、非常におもしろいものだと思うのですが、
まだ、ほとんど売り上げが立っていない状況で、
特許出願はまだしも、意匠出願は必要なかったのでは?
と正直なところ、思いました。
商品の形状のバリエーションはいくらでも
考えられるものでしたので、
いくつかの意匠出願で、
とてもカバーできるものではありませんでした。
後日、この方から、新しいアイデアがあるので、
特許出願をしたい、とのご相談を受けたのですが、
私は、この段階で特許出願は辞めた方がいい、
と回答しました。
起業をして、まだ、ほとんど売り上げがたっていない、
十分な資金があるわけでもない、
という状況で、このアイデアについて
特許出願をするのが、このご相談者のためになると、
とても思えなかったからです。
特許出願をするために数十万円を使うのなら、
そのお金を使って広告をうち、玩具を販売した方が
よっぽど、この会社の役に立ちます。
新しいアイデアについて特許出願をするのは、
玩具の販売で、収益があがったあとでもよい、
と考えたわけです。
我々は、出願のご依頼がお仕事になるわけで、
ご依頼をいただけることはありがたいことなのですが、
この判断は、間違っていなかったと、今でも思っています。
出願をしたから、
特許をとったから、
意匠登録をしたから、
売上があがるわけではありません。
このことをもっと早くにお伝えできていれば、
意匠出願もしなくてすんだかもしれません。
特許出願や意匠出願をすることは、
その商品やビジネスに対する1つの投資ではあるのですが、
状況によっては、もっと優先すべき投資があると思います。
|◆今日のポイント◆
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☆出願をしたから、特許をとったから、
売上げがあがるわけではない。
☆状況によっては、特許出願よりも
もっともっと優先すべき投資がある。
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